CRM/SFA 導入事例新しい暮らし方を拓く次世代型プロパティマネジメント会社が実現した完全ペーパーレスな不動産業務改革

都市部における新しい一人暮らしのスタイルとして注目を集める「コリビング」。その先駆けとして、都心を中心にデザイン性と機能性を兼ね備えた賃貸住宅ブランド「HAUN(ハウン)」を展開するのがHAUN株式会社です。従来のシェアハウスとは一線を画し、プライベートと共有空間を絶妙にバランスさせた設計により、Z世代を中心とした若年層から高い支持を得ています。

そんな同社は、不動産業界ではまだ珍しい“直販型・完全ペーパーレス”の業務スタイルを実現するために、創業当初から Zoho CRM を導入。見込み客の管理から入居後の対応、さらにWebサイト連携や契約書作成、電子署名までを一元化し、少人数でも効率的かつ高品質な運営体制を築いています。

導入支援を担当するZooopsジャパンとの密な連携により、柔軟なカスタマイズやアイデアの実装もスピーディに実現。Zoho の各種アプリとの連携を駆使して、入居体験の向上やマーケティングの高度化にも取り組んでいます。

本事例では、HAUN株式会社のKeen Chung Lo氏に、同社がどのように Zoho CRM を活用し、業務の効率化と顧客満足の向上を両立させているのかを詳しくお聞きしました。成長著しいスタートアップが CRM を事業の中核として活用する先進的な取り組みをご覧ください。

「Zoho CRM がHAUNのビジネスの中心になっています。入居の申し込みから契約、退去まで、すべてのプロセスが CRM 上で完結しており、会社の成長に欠かせない存在です。」

共同創業者 Keen Chung Lo氏
HAUN株式会社

― HAUN株式会社について教えてください。

HAUN株式会社は、不動産運用を行うサムライ・キャピタル株式会社のグループ会社として設立された、都市型コリビング賃貸住宅を展開する不動産ベンチャーです。第一号物件「HAUN TABATA(ハウン田端)」を2024年3月に開業し、都市部を中心に複数の物件展開を予定しています。

「HAUN」は、一人暮らしにおける新たな選択肢として、プライベートと共用空間のバランスに優れた設計を採用しています。1階にはコワーキングスペースとシェアキッチンを設け、家具・家電付きの約15㎡の個室は、水回り完備でビジネスホテルに近い快適性を提供しています。直販型モデルのため、仲介手数料が不要、初期費用を抑えるため敷金・礼金も不要で入居できるというのが特徴です。次世代ニーズを捉えた設計・運営で、新しいライフスタイルを提案しています。

ペーパーレスでスマートな不動産運営を目指して

― CRM を導入しようと思った背景や当時感じていた課題について教えてください。

Lo氏:不動産業界全体として、DXが遅れていると言われていますが、私たちは新設のプロパティマネジメント会社として、デジタル化を積極的に進めたいという思いがありました。特に、契約や鍵の引き渡し、入居対応など、従来の不動産手続きには多くの紙と人手がかかります。この仕組みを人手に頼らず、スマートに運用するには、紙を介在させずにかつ業務を一元管理できるソフトウェアが必要不可欠でした。
また、私たちのビジネスモデルは、不動産屋を使わずに、SNSなどで入居者を募る直販型ですので、一連のカスタマージャーニーをデジタルでフォローするには、CRMが最適と考えました。

― 数ある CRM の中で、Zoho CRM を選んだ決め手は何でしたか?

Lo氏:Salesforceやkintone、不動産業界に特化したいえらぶやITANDIなども比較検討しましたが、Zoho CRM が最も効果的だと判断しました。機能面と柔軟性、そしてコストパフォーマンスのバランスが非常に優れていたからです。私たちのようなスタートアップにも導入しやすく、カスタマイズ性も高かった点が決め手です。

― CRM の導入で実現したかったことは何ですか?

Lo氏:ひとつは、完全にペーパーレスの業務体制をつくること。そしてもうひとつは、Excelに頼らない仕組みにすることでした。少人数でも業務をスピーディに進めるためには、チーム全員が簡単に情報を共有できる環境が不可欠だと考えていました。その実現のために、CRM の導入は欠かせない選択肢だったのです。

商談、契約・審査、入居、そして退去まで Zoho CRM が業務の中核

― 実際に、どのような業務で Zoho CRM を活用されていますか?

Lo氏:見込み客の獲得から商談、契約・審査、入居、そして退去までの一連のプロセスをCRM 上で一元管理しています。また、物件管理についても、CRM内で各部屋の契約状況や状態を把握できるようにしていま「部す。
Zoho CRM は、私たちのビジネスツールの中核にあると言っても過言ではありません。

― 入居が決まった後の契約書作成業務での Zoho CRM の活用方法を教えてください。

Lo氏:入居希望者には Zoho Forms で作成したWebフォームから、契約に必要な情報(勤務先、年収、住所など)を入力してもらいます。そのデータは CRM に連携され、本人確認書類も含めて一元的に管理されます。提出していただいた書類を確認し、問題がなければ、契約手続きに進みます。

不動産の賃貸契約時には、賃貸契約書に加えて保証契約書も必要で、CRMから入居者情報は直接に保証会社に自動的に送ります。審査が通った際に、保証契約の電子署名依頼もCRMから入居者及び保証会社に情発行します。

契約書ですので、正確さも求められます。私たちは、契約書類の作成時には、Zoho Writer の差し込み文書機能を使って CRM の情報を自動反映しています。手作業で他の書類からコピーペーストする必要がないので、ミスが減り、作成時間も短時間ですみます。電子署名は Zoho Sign を活用していて、紙を使うことは一切ありません。

差し込み文書機能で、コピーペーストによるミスもなく、短時間で契約書の作成が可能。
差し込み文書機能で作成された賃貸契約書。すべての項目が自動で挿入される。

― 入居者向けポータルとも連携されていると聞きました。

Lo氏:入居者は、入居者向けポータルで、署名した契約書を閲覧できます。ですので、入居者の方も契約書を紙に印刷して保管する必要がありません。この入居者向けポータルは、Zoho Creator のポータル機能を使っています。

退去管理から「入居待ち」対応、Web連携まで── Zoho CRM でリアルタイムな情報可視化と業務効率化を実現

― 日常的に CRM で管理している情報には、どのようなものがありますか?

Lo氏:私のホーム画面では、入居者の一覧はもちろん、退去予定の部屋のリストや契約書への署名状況などを表示しています。

入居者が退去した場合は、次の入居者が入居する前に部屋のクリーニングをしますが、そのスケジュールは、この退去予定表をもとに計画します。また、不動産の賃貸時には、複数の契約書を交わしますので、それらの契約書の署名が完了したかどうか、いつ完了したのかといった状況を一覧で表示し、契約漏れがないよう確認しています。

180日後までの退去や再契約の予定が一覧で確認できる。
複数の契約書について、署名が完了したかどうか、いつ完了したのかといった状況を一覧で表示。

さらに、HAUNでは、空き部屋がないときには、「入居待ち」ができるようになっているのですが、その一覧も Zoho CRM のホーム画面で確認できます。退去の申し込みがあったら、すぐに「入居待ち」の方に連絡できるようにしています。

入居待ちの一覧が一目でわかるので、営業フォローもスムーズ。

― 御社Webサイトの空室情報ページでは、CRM の情報が自動的に反映されるそうですね。

Lo氏:弊社のWebサイトに掲載している空室情報は、CRM と連動しています。部屋の空き状況や間取り、広さ、賃料などを CRM 上で更新すると、Webページの情報も自動で反映されるようになっています。手動で更新する手間を省き、かつ弊社の物件に興味のあるお客様に、正確な最新情報を提供できる仕組みを構築しています。

HAUNのWebサイトの空室状況は、Zoho CRM のデータが自動で反映される。

独自アプリとデータ分析で運営を最適化── Zoho Creator と Zoho Analytics を駆使

― Zoho Creator を使って開発された独自アプリについて教えてください。

Lo氏:運営に必要な情報を一目で把握できるように、いくつかのカスタムアプリを作成しました。たとえば、入居申込の一覧、設備利用(駐車場・レンタサイクルなど)の申込管理、外部宿泊者の申請、解約予定の管理、クーポンの発行・使用状況などです。

これらはメール連携機能とも組み合わせて、入居者からの申請メールを CRM 上で自動管理できるようにしています。

入居者からの各種申請メールの処理状況を一覧で確認できる。

― CRM データを使ってさまざまな分析やレポート作成を行っているそうですね。

Lo氏:Zoho Analytics のダッシュボードを使って、リード変換率、商談件数、入退去の推移など、さまざまな指標を可視化しています。入居者の年齢、性別、年収などのデータを分析し、より精度の高いマーケティング戦略にも役立てています。

また、これらのデータは社内での意思決定だけでなく、四半期ごとに投資家に提出するレポートにも活用しています。Zoho CRM のレポート作成機能を使うと、予め作成して保存した条件に応じて、ボタン一つで最新の状況を表やグラフにできるので、必要な時に簡単にレポートが作成できとても便利です。

投資家向けのレポートもボタン一つで生成される。

CRM が支える業務革新と事業成長──ペーパーレス化から、次なる活用フェーズへ

― Zoho CRM でどのような効果を実感されていますか?

Lo氏:まず、Zoho CRM を導入して完全なペーパーレスを実現できました。これにより、紙の書類を印刷・保管・郵送する手間がありません。Excelも使用していませんので個別にファイルを共有する必要もなく、情報はすべて Zoho CRM 上でリアルタイムに確認・共有ができるので、チーム全体の連携もスムーズです。
また、見込み客の管理から契約、入居後のフォロー、退去に至るまで、すべてのプロセスが一元管理されているため、業務の抜け漏れや人的ミスも最小限で済んでいます。契約書作成や顧客情報の管理も自動化されており、従来の不動産業界の紙を主体とした業務に比べれば、スタッフの負担は大きく軽減されているはずです。
Webサイトや入居者ポータルとの連携により、入居希望者や既存入居者に対しても、よりスマートでストレスの少ない体験を提供できていると感じています。さらに、Zoho Analytics を活用したデータ分析では、マーケティングや事業戦略に活かせる多くの示唆が得られており、Zoho CRM は私たちのビジネスにとって「なくてはならない基盤」になっています。

― CRM の活用を通じて、今後取り組みたい施策や、新たな活用構想があれば教えてください。

Lo氏:今後は、CRM をより高度に活用し、マーケティングから入居者管理までの一連のプロセスをさらに最適化していきたいと考えています。特に力を入れたいのが、リードの流入経路に応じた分析の自動化です。現在も Zoho Analytics を使ってリードの属性や行動履歴を可視化していますが、今後はSNSやGoogleアナリティクスとの連携を進め、広告経由、自然検索経由、SNS経由など、それぞれのチャネルごとにリード獲得数やコンバージョン率をより精緻に把握できる仕組みを整えていく予定です。

あわせて、Zoho Creator を活用した業務アプリの追加開発も進めています。現在はレンタサイクルの申請やクーポンなどを Zoho Creatorで管理していますが、今後は CRM の情報をもとに見積もりの作成も自動化する予定です。

今後もさらなる活用を進め、受注率を高めるとともに、入居者満足度の向上を目指していきたいと考えています。CRM を単なる業務効率化ツールとしてではなく、「顧客体験の質を高め、事業成長を支えるエンジン」として育てていくつもりです。

― 導入支援パートナーの対応について、率直なご感想をお聞かせください。

Lo氏:導入支援と実装をお願いしているZooops Japanとは、週に一度ミーティングの時間を設けています。あらかじめ決めた議題に沿って進めるというよりは、毎回オープンディスカッション形式で、課題の共有から新しい機能の使い方、今後の運用アイデアまで、幅広いテーマを率直に話し合う場になっています。

このミーティングにはコストも発生しますが、それ以上に CRM の専門的な知見を持つZooops Japanの担当者との意見交換は、得られる成果が大きく、実際に多くのアイデアや改善のヒントをここから得てきました。フェーズ1の導入完了後は、より柔軟に実装が進められる契約形態に変更し、毎週の対話を重ねながら、優先度の高い課題から一つずつ着実に進めています。

Zooops Japan側と「どう実現するか」「操作イメージはどうなるか」といった実践的な観点でのすり合わせがスムーズにできており、実装の精度も高いと感じています。仮に実現が難しい要望があった場合でも、その理由を丁寧に説明していただきながら、代替案を提示してもらえるため、常に前向きな方向で議論が進みます。

こうした取り組みを一緒に進められるパートナーがいることで、私たちのアイデアが実現可能なかたちになり、業務の質も大きく向上しています。今後も引き続き、よきパートナーとして支援いただきたいと考えています。

― 現在 Zoho CRM の導入を検討している企業へメッセージをお願いします。

Lo氏:Zoho CRM は、私たちのように、新しい業態やビジネスモデルに取り組んでいる企業にとっては、「こうあるべき」という従来の常識にとらわれず、自由度の高い業務設計ができるのが魅力だと感じています。

また、導入時には信頼できる導入パートナーとしっかりコミュニケーションを取りながら進めることが、成功の大きな鍵になると思います。私たち自身、週次のミーティングで現場の課題を一つずつクリアにしていく中で、実装の幅も広がっていきました。

CRM の導入は、単なるツールの選定ではなく、事業の未来をどう創るかという視点で取り組むべきテーマです。 Zoho CRM は、そのパートナーとして非常に心強い存在になるはずです。

― Zohoへのご要望やご提案があればお聞かせください。

Lo氏:今後、日本国内のユーザーがさらに増え、Zoho 製品がより日本市場にフィットした形で進化していくことを期待しています。より使いやすく、現場に寄り添ったプロダクトになることを楽しみにしています。

HAUN株式会社

  • 所在地:東京都港区六本木6-2-31 六本木ヒルズノースタワー9階
  • 業種:不動産業
  • 社員数:10名
  • 事業内容:コリビング賃貸住宅ブランド「HAUN」の企画・運営
  • ビジネス:BtoC
  • 設立:2018年8月
  • URL :https://haun.co.jp/company/

導入支援パートナーについて

株式会社Zooops Japan

Zooops Japan -ズープスジャパン- は、Zohoアプリケーションの販売・カスタマイズを行う認定パートナーであり、2021年2月には国内で初めてZoho Creator Certified Developer を取得しました。
私たちは、Zohoアプリケーション単体のカスタマイズだけでなく、様々な他システムとZohoアプリケーションを連携することで、より効率よくスピーディに生産性の高いシステムを作り上げることができると考えています。
これまでZoho CRM を中心に、連携実績のある他システムは、基幹システム、モバイルメッセンジャーアプリケーション、POSレジシステム、会計システム、クラウドPBXツール 等、多岐にわたります。
これまでの多様な実積から得た「ヒアリング力」「課題解決力」「ノウハウ」と、弊社の強みである「技術力」を最大限活かし、お客様の課題整理から運用サポートまで、ありとあらゆるビジネスシーンをワンストップでサポート致します。

  • 本社所在地:東京都千代田区神田和泉町1-12-15 O・Sビル4F
  • 設立:2007年
  • 従業員数:47名
  • 業種:コンサルティング
  • パートナー認定:ビシネスソリューション、システムソリューション、クラウドソリューション
  • パートナー認定:アドバンスパートナー
  • ビデオ会議対応:
  • 対応地域:全国
  • 対応サービス:CRM、CRM Plus 等
  • 詳細・お問い合わせはこちら

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