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CRM/SFA 導入事例伝統と革新を融合させる、新たな挑戦。
創業約150年の老舗企業が挑む、データドリブン経営

日本企業において長く受け継がれる「日報」。業務進捗の共有、自己管理の促進、そしてコミュニケーションの活性化を支える重要な役割を果たしてきました。この「日報」の文化を、デジタルの力でさらに進化させたのが、京都を代表する老舗、京都鰹節株式会社です。

同社は、データドブリン経営を目指し、従来の紙の日報を脱却してZoho CRMを導入しました。このCRMは、独自にカスタマイズされた「日報タブ」を中心に設計され、すべての営業活動を網羅的に管理できる仕組みを構築しています。

Zoho CRMを活用することで、営業担当者は日々の活動をデータとして記録し、それに関連する情報も自動的に生成されるようになりました。これにより、営業活動はデータに基づいて効率的に進行し、経営判断にも活用できる「データドリブン経営」の基盤が整備されました。

これまで培ってきた業務環境と経験を大切にしつつ、デジタルツールを導入して伝統と現代の融合を実現する。この新しい取り組みは、京都鰹節ならではのCRM環境を生み出しています。

このプロジェクトをリードしたのは、京都鰹節の四代目である志村紘之氏です。長年にわたり受け継がれてきた「日報」の文化をデジタルツールで進化させることで、企業のさらなる成長を目指しました。

現在、Zoho CRMは営業活動の効率化だけでなく、伝統的な業務フローの見直しや最適化にも貢献しています。京都鰹節の挑戦は、老舗企業が現代のデジタル化にどのように対応し、進化しているかを示す象徴的な成功例と言えるでしょう。

「Zoho CRM 導入で、営業活動が『見える化』され、社員間のコミュニケーションが活発になり組織の風通しが良くなりました。」

京都鰹節株式会社 代表取締役社長
志村紘之氏

― はじめに、京都鰹節株式会社について教えてください。

志村氏:私ども京都鰹節株式会社は、1877年(明治10年)創業の京都市南区に本社を構える企業です。削り節製造メーカーとして、原材料となるかつお節を仕入れ、それを削り節へ加工し販売しております。削りかつお節や昆布類といった和食に欠かせない食材を中心に製造・卸売を行い、主に飲食店やホテル、食品加工メーカーを対象に全国および海外へ展開しています。

そんな当社では「お客様に信頼され、出汁に関するファーストコールカンパニーとなることを目指す」を掲げ、2006年には自社工場でHACCP認証を取得するなど、品質管理を徹底。和食のみならず中華料理やラーメン店向けの商品開発も手がけ、多様な消費者ニーズに応えています。2021年には代表取締役社長が先代から私、志村紘之へと世代交代を果たし、さらなる成長を目指す一方、安心・安全な製品作りと伝統を守りながらも革新的な価値創造に取り組んでいるところです。

紙の日報をZoho CRM へ移行、営業活動の見える化とフィードバックを実現

― 品質対して強いこだわりを持っていらっしゃると伺っています。

志村氏:はい。当社の強みは、徹底した原材料へのこだわりと安定供給の実現です。
かつお節の品質は原材料に大きく左右されるため、生産者から仕入れる際には厳しい基準を設けています。そのため「基準が高すぎる」という声をいただくこともありますが、一方でそれは私たちの品質への自信の源でもあります。
また、気候変動などで原材料の確保が難しい時代においても、だしを味の要とするお客様に迷惑をかけないよう、安定的な仕入れと供給に全力を注いでいます。このように、高品質な原材料と安定供給への取り組みが当社の強みであり、お客様から信頼をいただける理由だと考えています。

― そんな貴社がZoho CRM の導入に踏み切った背景、解決すべき業務課題はどのようなものだったのでしょうか?

志村氏:私たちがZoho CRM を導入した理由は、前々から営業活動の「見える化」が必要だと考えていたからでした。
Zoho CRM を導入する前は約30名の営業スタッフが毎日、紙の日報を書いてその日の業務を報告していました。しかし、この方法では営業の結果、つまり成約や数値は把握できても、そこに至るまでの過程は見えませんでした。特に、経験の浅い社員にアドバイスをする場合、活動内容が共有されていないと具体的な指導が難しく、成長へのサポートが不十分になりがちでした。
また、個々の営業活動が他のメンバーや上司から見えないことで、チーム全体の連携が図れないという点も課題でした。こうした問題を解決するために、CRMが必要だと考えたのです。
いくつかのITツールを比較検討しましたが、Zoho CRM を選んだ決め手は、柔軟なカスタマイズ性です。特に、現状の業務フローをシステムに合わせて変更するのではなく、当社の業務に合わせてシステムを柔軟にカスタマイズできる点を高く評価しました。さらに、その高い機能性と比較して、優れたコストパフォーマンスも魅力でした。

― なるほど。では、実際にZoho CRM をどのように活用されているのかについて伺います。日報はZoho CRM 上でどのように運用されていますか?

志村氏:先ほどお話しした通り、当社では長年にわたり営業日報を紙で管理してきました。そのため、社員にとって馴染みのある方法を新しい仕組みに切り替えることには、一定の難しさが伴いました。

しかし、Zoho CRM を導入し、当社の業務に合わせて「日報」を登録する専用タブを設けることで、 この課題が一気に解決しました。この「日報」タブは、Zoho CRM の標準機能ではなく、当社の営業現場に合わせて独自に作成したカスタムタブです。営業担当者は、一日の活動内容をこの「日報」タブに集約して入力することで、効率的に情報を記録できるようになり、上司も担当者ごとの活動状況や進捗を簡単に確認できるようになったんです。

さらに、この「日報」タブに入力した内容が、顧客情報などを管理する「取引先」タブや、案件の進捗状況や過去のやりとりを管理する「商談」タブなどと自動で連携されます。そのため、営業担当者がどの時間にどこへ行き、どのような活動をしたかがリアルタイムで各タブに反映され、営業活動の管理もスムーズになりました。

私自身、毎日すべての営業担当者の日報を確認し、必要に応じてコメントを追加することで、リアルタイムにフィードバックを送ることができています。
以前は紙ベースでメモをやり取りしていたため、情報共有に時間がかかることがありました。しかし、Zoho CRM ではその場でアドバイスを入れたり、メンションを追加したメモを他の人に送信したりできるので、情報共有が非常にスムーズになりました。
以前の紙ベースの管理方法と比べて、業務が格段に便利になったことを実感しています。

― 営業担当者のみなさんは、日報を起点に各々の商談を管理されているということでしょうか?

志村氏:はい、営業担当者は日報に情報を入力しながら、商談のステージを管理しています。具体的には、商談が進むごとに、例えば「見積り」の段階に進んだ際には、日報タブのステージ欄を更新すると、商談タブに自動で反映されるようになっています。これにより、日報の入力と商談ステージの管理がシームレスにつながり、効率的に進行状況を追跡できるようになりました。
今後は営業活動のデータをさらに活用して、商談の件数や各ステージでの歩留まり、成約率も把握できるようにしたいと考えています。
ただし、ここには「ユーザー教育」という課題があります。営業担当者にステージ管理を徹底させ、例えば失注時には必ずステージを「失注」に移動させるなど、細かな管理の定着には時間が必要です。
それでも、営業チーム内で参考にしたい日報を共有し、他の営業担当者からフィードバックを受ける仕組みは有効に機能しています。商談の進行に関する注意点やアドバイスが上司から送られることで、営業担当者は実践的なノウハウを学び、より質の高い営業活動につなげることができています。

Zoho CRM の導入により、支店の垣根を超えたコミュニケーションが促進

― ダッシュボードを拝見しましたが、IT企業のようにデータドリブンな経営をされている印象を受けます。

志村氏:京都の老舗企業としては少し意外かもしれませんが、当社は競争が激しい業界にいるので、数字の管理には非常に力を入れています。これは、先代や先々代から受け継がれた、徹底した数字管理の文化が根付いているのだと思います。
近年では、営業活動の数字管理がさらに透明化され、ダッシュボードを使って、毎日の営業成績や売上を簡単に確認・比較できるようになりました。特に幹部向けのダッシュボードでは、営業担当者ごとの成績が一目で分かるようになっています。これにより、全体の状況を日々チェックしながら、改善点を迅速に見つけて対応することが可能です。
また、データはアナリティクスを活用して詳細に分析しており、昨対比などを見ながら、営業成績の良し悪しを細かく確認しています。このデータを見ることで、今の営業状況が良いのか悪いのかを瞬時に判断でき、結果として営業活動の質が向上していると感じています。

▲ とある営業担当者の日報。上長や幹部からフィードバックが行えるだけでなく、他の営業担当者が参照することもできる。

― Zoho CRM を選ばれた理由に、カスタマイズ性を挙げられていました。実際に他のシステムとの連携などはされていますか?

志村氏:はい、販売管理システムから出力した売上のCSVデータをZoho CRM にアップロードし、そのデータを基に営業成績のグラフが作成されるようにしています。これにより、毎日の売上状況や個別の営業成績が一目で把握できます。

また、入金遅延データもZoho CRM で管理しており、遅延が発生すると担当者に自動通知が届き、「入金遅延報告書」タブの該当レコードに遅延理由を入力する運用を徹底しました。その結果、以前は月10件程度あった1ヶ月以上の入金遅延を、現在では1件程度にまで削減できました。
商談に関しては、営業担当者が毎月目標を設定し、月次目標をシステムに入力すると、それが自動的に日報に反映されます。この仕組みを導入したことで、営業の進捗を把握しやすく、日報の入力作業が効率化されました。営業担当者は事前に「今月はこれだけの商談を行う」という目標を立て、それに基づいて日々の活動を報告しています。そのため、毎日商談の進捗が漏れなく記録され、営業活動がよりスムーズに管理されています。
このシステムが効率的に機能することで商談の管理が格段に楽になり、成果も見えやすくなっています。
CRMツールを日々使っていると、「こうしたい」「これが欲しい」といったアイデアが次々と浮かんできます。例えば、配達担当者のルートを地図上に表示して効率化を図りたいと思った際に相談したところ、配達先と日時を記録することで、自動的にマップに表示されるようにカスタマイズしてもらえました。この機能により、遠く離れた配達先を短時間で行き来している場合でも、配達順を最適化することで、時間と移送コストの大幅な削減が可能になりました。

Zoho CRMのこうした柔軟なカスタマイズ性は、ユーザーの「こうしたい」を簡単に実現してくれる点で非常に高く評価しています。

▲ 各営業担当者の日報は地図情報にも紐づけられ、その日の移動経路も細部まで終える仕組みになっている。

― Zoho ツールの導入で、社員間のコミュニケーションが活発になったとのことですが。

志村氏:実のところ最初は日報の共有に対して抵抗感を持つ社員もいました。「自分のノウハウが他の人に知られるのは嫌だ」と感じるのは当然の反応でしょう。しかし、Zoho CRM の活用が定着した現在はそのような声はほとんど聞かれません。むしろ、日報を通じて、同僚の日々の取り組みを参考にすることが当たり前になっています。
実際、京都や東京、大阪、金沢など、離れた拠点で働く社員同士でも、日報を見て「この人のやり方を学びたい」「この人ともっと話してみたい」と思うようになっていると感じています。これが、普段から電話やチャットでのやり取りにもつながり、社員間のコミュニケーションが活発になっている理由です。
例えば、ある社員が「この人の日報が面白い」「この人の取り組み方が参考になる」と感じれば、異なる支社の社員でも気軽に相談できるようになり、仕事の効率や連携も飛躍的に向上します。結果として、日報を通じて社員同士のつながりが深まり、仕事の進め方や考え方においても新たなアイデアを生み出すきっかけになります。

Zoho Analytics を活用し、営業成績をデジタルサイネージにリアルタイム表示

― 貴社ではZoho CRM と併せて、Zoho Analytics も導入いただいています。

志村氏:以前は販売管理システムに数字を入力して、その結果を見ていました。しかし、Zoho Analytics の導入によりそれが大きく変わりました。必要なデータが自動的にグラフとして表示され、わざわざ数値を手で拾って比較する必要がなくなったんです。画面を開ければ数字がビジュアル的に一目で分かるようになり、これが非常に効果的です。
さらに、各拠点に設置したデジタルサイネージでは、リアルタイムでグラフが表示され、パソコンを開くことなく、誰でも簡単に進捗状況や成果を把握できます。このように、数字が可視化されたことで、社員、特に若手社員が自身の成果を強く意識するようになりました。
実際、例えば営業担当者のAさんがNo.1の成果を上げたということも、以前なら「そうかもしれないな」というレベルでしたが、今ははっきりと分かるようになり、その結果として、社員全体の意識がより高まりました。
数字が明確に見えることで、より多くの社員が自分のパフォーマンスを向上させようと意識し、結果的に会社全体のパフォーマンスも向上しています。

― Zoho Analytics に加えて、Zoho Projects もご利用いただいています。

志村氏:当社では2年ほど前に中期経営計画を立てる際、プロジェクトチームを立ち上げ、計画を練り上げました。この計画を実行に移すため、各プロジェクトメンバーにそれぞれの担当を割り当て、進行状況を正確に把握するためにZoho Projects を活用しています。
例えば、「時短に取り組む」というプロジェクトがあった場合、担当者の目標達成に必要なタスクを登録し、その進捗を管理します。各タスクがどれくらい進んでいるのか、次に何をすべきかを明確にすることで、プロジェクトがスムーズに進行する仕組みを構築しています。これにより、計画の実行力が高まり、効率的な運営が可能になっています。

― 最後に、現在Zoho CRM の導入を検討している企業へメッセージをお願いします。

志村氏:当社では以前、紙で管理していた日報をZoho CRM で運用することで、営業進捗が一目で分かり、営業チーム全体の活動状況をリアルタイムで把握できるようになりました。これにより、スタッフ間のコミュニケーションがスムーズになり、迅速なサポートやフィードバックが可能になりました。
また、商談データや売上の進捗がダッシュボードで簡単に確認できるため、経営判断が迅速かつ正確に行えています。このようにZoho CRM は多機能かつ柔軟性があるので、営業活動の可視化や効率化を図りたいと考えている企業に特におすすめしたいですね。

京都鰹節株式会社

  • 所在地:京都府京都市南区吉祥院石原堂ノ後西町7
  • 業種:食品業
  • 社員数:80名
  • ビジネス:BtoB、BtoC
  • 事業内容:・削鰹の製造卸売
    ・食品材料全般(和食・中華・冷凍食品)卸売
  • 創業:1887年
  • URL :https://kyoto-katsuo.co.jp/

導入支援パートナーについて

カイト合同会社(KITE, LLC)

Zoho CRM を中心としたクラウドテクノロジーの活用を通じ、クライアント各社のデジタルトランスフォーメーションを推進しています。
提供サービスは全て「生産性向上のための仕組みづくり」を主眼として設計されており、2014年の創業以来、延べ100社以上の企業様にご利用いただいております。

  • 本社所在地:東京都千代田区一番町13−2 2F
  • 設立:2014年
  • 従業員数:5名(契約社員含む)
  • 業種:コンサルティング
  • パートナー認定:プレミアムパートナー
  • ビデオ会議対応:
  • 対応地域:全国
  • 対応サービス:全サービス
  • 詳細・お問い合わせはこちら

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