CRM/SFA 導入事例ペーパーレス、営業DX…その先へ――
トヨタレンタリース大阪がZoho CRMで描く
サスティナブル経営の現在地
- 株式会社トヨタレンタリース大阪
- 所在地大阪府大阪市西区阿波座1丁目13番17号
- 業種自動車賃貸業
- 社員数464名(2024年3月末現在)
- ビジネスBtoB、BtoC
- 創業1966年10月11日
トヨタ自動車系列のレンタカー/カーリース企業である株式会社トヨタレンタリース大阪は、モータリゼーション企業として喫緊の課題である「脱炭素」に向けてグループ全体で向き合っている。同社が行う持続可能な社会づくりに向けたさまざまな取り組みの中で、新たに取り入れようとしている切り札が、サスティナビリティとも親和性の高いZoho CRM をはじめとするZoho ツールだ。
圧倒的なコストパフォーマンスで知られるZoho ツール。その根底にあるのは「ソリューションベンダー」という他のITベンダーとは一線を画した独自のコンセプトだ。単に「顧客に対してツールを提供する」のではなく、「顧客の課題を解決するソリューションを提供する」ことに主眼を置いたZoho のポリシーは、ツールを導入した後にこそ大きな力を発揮する。事実、本件においてもトヨタレンタリース大阪からの要望を受けて、インドの開発チームが一丸となり、Zoho Backstage へ新機能を追加するという離れ業をやってのけた。
トヨタレンタリース大阪が志向するさらなるサスティナビリティへの取り組みとDX、それをサポートするZoho ツール、そこから見えてくる青写真とは果たして――。
Zoho CRM の導入を主導する、同社総合企画室・人材開発室の木村康二氏と、中村 隆志氏、導入パートナーとして伴走し続ける株式会社関西・青山敬三郎氏に話を聞いた。
「Zoho CRM はコストパフォーマンスが優れたCRM/SFA。ここまでのソフトウェアにはこれまで出会ったことがありません」
株式会社トヨタレンタリース大阪総合企画室システムグループ 課長
中村隆志氏
― はじめに、トヨタレンタリース大阪について教えてください。
木村氏:私ども株式会社トヨタレンタリース大阪は、トヨタグループの会社で、カーシェアリングを含めた「レンタカー」と企業などへ自動車をリースする「カーリース」という二つを事業の柱としています。
当社の親会社にあたるのは、大阪府下でトヨタ車の販売を担う大阪トヨペット株式会社ですが、当社の事業はすべてトヨタ自動車とのフランチャイズ契約のもと展開しています。
大阪に限らずトヨタレンタリースは、東京を除いてその地域の資本の会社で構成されています。私たちの親会社である大阪トヨペットは、創業当時から大阪府下においてトヨタ車の販売を行っており、全国にあるトヨタレンタリースはそれぞれ我々と同じように、地場のトヨタ販売店の子会社という形で大きなグループを形成しています。
Zoho Backstage で、イベント運営をデジタル化してペーパーレス化を達成
― 貴社では持続可能な社会づくりについて、モータリゼーション企業ならではの先進的な取り組みをされているとうかがっています。
木村氏:はい。持続可能な社会に向けての取り組みは、CO2排出と深い関係のあるレンタカーやカーリースに携わる企業として、他社や他業界に先駆けて取り組まなければならないミッションだと認識しています。
具体的な取り組みとしては、レンタカーやカーリースで扱う車種に、HEV車(ハイブリッド車)、BEV車(電気自動車)、FCEV車(燃料電池自動車)などを積極的に導入することでCO2排出量を減らし、地球環境の保全に少しでも寄与できるよう努めています。
とはいうものの、BEV車へシフトすることだけでは、サスティナブルにつながりません。実は日本においてはBEV車のエネルギーである電気の約7割が、石油などの化石燃料を使用する火力発電所で作られます。つまり、仮にBEV車を増やしても、間接的にはCO2を排出してしまうわけです。
他方、発電の多くを原子力に依存しているフランスのような国ですと、BEV車を増やすことがそのまま脱炭素への取り組みとなります。こうした国や地域ごとのエネルギー生産事情を踏まえながら、今、トヨタグループでは「移動が必要なすべての人へ、その移動手段を提供する」というコンセプトのもと、地域やお客様に寄り添った最適なソリューションをご提案しています。
― 先ごろ(2024年10月)に貴社が開かれた「クルマ×環境法人フェスタ」も、その取り組みの一環ということですね。当日は、大勢の来場者でにぎわっていました。
木村氏:当社では、毎年一回、日頃ご愛顧いただいている法人のお客様をお招きし、新型車の試乗や、安全運転啓もう活動を行っています。今年のテーマは『クルマ×環境法人フェスタ』です。さらに、「実際にお客様にBEV車を試乗していただく」とともに、「シンポジウムを通じてサスティナビリティへの取り組み」を紹介しました。
また、『環境チャレンジ』というコンセプトのもと、三つのテーマを作成。一つ目が、「ペーパーレス」で、ここにZoho ツールを活用しています。
二つ目が、「企業価値の向上」。実は、イベントのコンテンツは昨年までご来場いただいた方だけに情報提供していたのですが、それをオンラインで一般に公開しました。
そして、三つ目が、「カーボンニュートラルへの取り組み」。これはイベントで排出するCO2をゼロにしよう、というものです。実は電気自動車と燃料電池自動車、ハイブリッド車は給電もできます。この機能を活用し、イベントで使う電力を全て自動車の畜電力で賄い、トータルのCO2排出量をゼロにしました。
一方で、施設の空調や照明、ご来場いただくお客様が乗ってこられる自動車から排出されるCO2などはどうしても削減できません。そこで、この部分については「カーボンオフセット」、つまり、CO2排出量をお金で買うことで排出をゼロにしました。
中でも、一番目に見えてわかったのは「ペーパーレス」で、ここはZohoに多大な協力をいただいて感謝しています。
― イベントではZoho ツールを活用することで、例年以上にサスティナビリティな運営を実現されたと伺いました。
木村氏:はい。今回のイベントの運営に際しては、導入パートナーである株式会社関西の青山さんのサポートいただき、Zoho Backstage を活用しました。
例年であれば、来場したお客様に紙の台帳へお名前や会社名などを記入していただくというアナログな対応を行っていたのですが、今回、それらのオペレーションをすべてZoho Backstage へ置き換えたことで、大幅なペーパーレス化を達成できました。これはサスティナビリティ的な視点において非常に大きな進歩です。
一方、Zoho Backstage を使うことで得られたもう一つのメリットが、来場したお客様のスムーズな入場管理です。何しろタブレットにQRコードをかざすだけでチェックインが完了してしまいますから、その手間は雲泥の差と言えます。
もちろん、Zoho CRM と連携していますから、イベントで得られたさまざまな情報を顧客情報として蓄積できます。
その他に今年は試乗会の予約を受け、待ち時間や車の概要も確認できるランディングページを作成しました。
試乗車の数には限りがありますし、一人でも多くのお客様に乗っていただきたい、ということでウェブサイト上から希望する車種の試乗予約が簡単にできる仕組みです。
実はこのオペレーションも去年までは紙の台帳で行っていました。来場されたお客様が実際に自動車を見て、「このクルマに乗りたいのですが、空いてますか?」と口頭でやり取りを行っていたのですが、これだと非常に時間も手間もかかります。
そこで、今回はZoho Sites で作成したウェブサイト上で、それぞれの車種の魅力が伝わるデザイン、レイアウトに落とし込み、お客様がモニターを見ながら自分の試乗したい車の試乗予約ができるシステムを作りました。
関西・青山氏:このウェブサイトは、Zoho Sitesで作成しました。Zoho Sites はノーコードで数多の中で描いたイメージ通りのデザインが簡単に作れるので、完成まで2日しかかかりませんでした。
来場するお客様にとっても、自分のスマートフォンやモニターで試乗車を選べるのは楽しかったのではないかと思います。
既存システムにZoho CRM を組み合わせて、SFAやウェブマーケティングに照準
― Zohoで、イベント運営におけるペーパーレスが達成できた今、次なる課題はどのあたりになるでしょうか?
木村氏:本命はZoho CRM を活用したSFAで、今後はその部分に注力していくつもりです。その他にも、例えばホームページや社内のイントラのシステムなども刷新しなければならないと感じており、それら全般をZoho で対応できればと考えています。
中村氏:当社で運用しているシステムは、全国にあるトヨタレンタリース共通のオンプレミス型システムです。このシステムにはSFAの機能がほぼ無いため、その部分を独自のシステムで補っている状況です。しかし、このシステムの老朽化が著しく、時代と共に変化する業務ロジックに対応できなくなりつつあります。人的要因、環境的要因…最近ではニュースにもなった自動車メーカーの情報漏洩の部分でセキュリティ的な問題もあり、システムの刷新を進めているところです。
このような背景もあり、今当社で使っているシステムやアプリケーションの更新を急いでいでおり、自社やグループ会社内にもシステム開発部門があるのですが、リソースの問題などからなかなかスムーズに進められない状況です。
そこで、Zoho を導入する前に、とあるCRM/SFAシステムを導入しようとしたのですが、これがどうにも…。いろいろヒアリングなどを受けて組んでもらったのですが、出来上がったものは当社の業務ロジックとは全く合わない仕上がりでした。
しかもイニシャルコストも高額で、これはないな、と。
木村氏:現在、当社が抱えているシステム上の課題の一つが、「営業分析をしながら、上司がマネジメントをして営業戦略を立てていく」ことなんです。Zoho CRM の前に導入を試みたCRM/SFAシステムは、「当社のツールならそういうこともできますよ」という触れ込みでした。
ところが、いざ蓋を開けてみると、既存のシステムと何ら変わりはないというレベルの仕上がり。一応、ダッシュボードはありましたが、抽出したデータがただ並んでいるだけで、想像していたものではありませんでした。
関西・青山氏:トヨタレンタリース大阪様の既存システムは、カーリースというビジネスに関して言えば、すばらしいものだと思います。
ただ、近年、ビジネスにおける情報の中心が、「企業」から「個人」へと変わってきています。CRM/SFAもまさに「顧客管理」という個人を起点に情報を管理するシステムですから、この個人を追う…という流れに、いかにマッチさせるかが課題なのかなと。
とはいえ、営業担当者はこれまで既存システムのもとで培ってきたスタイルがあると思うので、いきなり根底から変えてしまうと、相当なストレスを感じるはずです。ですから、私としては、今回のようにZoho Backstage を使ったイベント管理であったり、あるいはZoho Sites を使ってウェブサイトの作成であったり、そういったフロントの部分から徐々に変革していくアプローチがマッチしているように思っています。
たとえば先ごろ開催したイベント「クルマ×環境法人フェスタ」では、「どのお客様がどの車種の試乗車に乗ったか」という情報がもれなくZoho CRM へ格納されました。この情報を、次なるリースへの足がかりにしたり、あるいは親会社である大阪トヨペットでの新車販売につなげることもできます。こうしたCRM/SFAを軸としたZoho ツールで得られるメリットを、いかに現場の営業担当者へストレスを与えることなくフィードバックできるかがテーマとなっていきそうです。
従来の脚で稼ぐ営業に、Zoho CRMで獲得した顧客情報で、営業の質を強化
― 我々Zoho は「ITベンダー」ではなく、「ソリューションベンダー」と名乗っています。その意味は、お客様の課題を解決することに主眼を置いているということです。このあたり実感としてはいかがでしょう?
木村氏:はい、その部分は今回のイベントを通して体感できました。「ここは運用で回しましょう」とか「ここはシステムを改良しましょう」と、常に導入パートナーである青山さんからさまざまな気付きやヒントをいただきながら進められています。
実際、Zoho Backstage でのイベント管理や、Zoho Sites によるウェブサイトの制作などを目の当たりにしているので、その利便性は高く評価しています。
今後は本丸であるZoho CRM を活用したSFAやマーケティングをいかに当社に適した形で取り込めるかに注力していきたいところです。
関西・青山氏:今回のイベントではトヨタレンタリース大阪様から、Zoho Backstage の機能の改良をリクエストされました。具体的には、一括登録という機能を持たせたいという内容だったのですが、普通のITベンダーならたった一社からの個別のリクエストに対応しませんよね。でも、Zohoは、開発に携わるインドのメンバーを含めて会社を挙げて対応してくれました。結果、トヨタレンタリース大阪様が希望されていた機能が短期間で実装され、イベント運営においても活用することができた。このような対応を取れるのも、Zohoが「ソリューションベンダー」だからこそ。普通のITベンダーだったらまず対応できなかったはずです。
― Zoho CRM を用いた、中長期的な目標をお聞かせください。
木村氏:当社はレンタカーという業態がゆえに、これまで自社でマーケティングを行う必要がありませんでした。我々の母体である「トヨタ自動車」の大看板を掲げられるため、ことさら施策を行う必要がなかったのです。
ところが、インターネットの普及に伴い状況は変わってきています。たとえばSNSなどで当社に対する好ましくないコメントがあったとしましょう。企業としてそれを放置し続けることは、結果としてトヨタレンタリースへの信頼やブランド価値を毀損する恐れがあります。
ですから、マーケティング活動の中で、こうした部分についてもきめ細やかに対応しなければならなりませんが、我々は日々の業務に追われていて対応できてないのが現実です。この辺りの課題を、各種のZohoツールを活用することで解決していければと考えています。
一方でカーリースについては、今後も“足で稼ぐ営業”が引き続きメインになると見込んでいます。ただ、その足で稼ぐ営業にプラスして、Zoho CRM をはじめとするシステムで得た顧客情報を有効活用できれば、これまで以上の提案ができると期待しているところです。
― Zoho CRM の導入検討している企業に向けてメッセージをお願いします。
木村氏:私がZoho CRM に感じるのは、何よりコストパフォーマンスが優れたCRM/SFAだということです。ここまでのソフトウェアにはこれまで出会ったことがありません。
また、「ソリューションベンダー」と名乗っている通り、課題解決に関しても我々ユーザーに親身になって寄り添いながら、臨機応変に対応していただけます。
我々もまだ道半ばですが、システムのリプレイスにおいては、いかに課題を解決するかが最も大きなテーマになるので、普通のITベンダーではなく、一緒になって課題を解決してくれるソリューションベンダーという立ち位置は非常に頼もしいですね。
先ほどお話しした通り、既存システムの老朽化への対応は喫緊の課題でした。そのため、先に別のCRM/SFAシステムを導入しようとしたものの頓挫。そんなタイミングでたまたま足を運んだイベントで、導入パートナーの青山さんとZoho と巡り合うことができました。
その際、実際にデモ画面などを見せてもらい、ノーコードでもかなりのことができることがわかりました。コストパフォーマンスの部分も含めて、「これなら行けそうだな」と感じましたね。
株式会社トヨタレンタリース大阪
- 所在地:大阪府大阪市西区阿波座1丁目13番17号
- 業種:自動車賃貸業
- 社員数:464名(2024年3月末現在)
- ビジネス:BtoB、BtoC
- 事業内容:レンタカー、カーシェア、カーリース、各種自動車用品の販売および賃貸、各種自動車の修理 他
- 創業:1966年10月11日
- URL :http://www.trlosaka.co.jp/
導入支援パートナーについて
株式会社関西
弊社は地域医療の提供から培った独自の作業療法メソッドを用い、個と集団の成長を促進します。企業・組織だけでなく全ての人が豊かになっていくためにテクノロジーを駆使し、その地域全体の成長を応援します。Zoho を活用したビジネス全体のIT構築設計を行い、提供される商品やサービスの品質が向上するように導入支援を行います。また、それらがしっかりと活用出来るためのITトレーニングも実施致します。
1.ツール 2.使う技術 3.人間が考えるアイデアの3つを軸に、遊びの中から人間が成長し育っていくように企業や組織、そこに属する方々の成長を促します。
- 本社所在地:〒530-0001 大阪府大阪市北区梅田1丁目11番4-1100号
- 設立:1989年8月17日
- 従業員数:7名(連結)
- 業種:経営コンサルティング、ITトレーニング、DX化支援、飲食(アンテナショップ)
- パートナー認定:認定パートナー
- ビデオ会議対応:可
- 対応地域:全国
- 対応サービス:全サービス
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