実父の会社の経営危機を、Zoho Finance Plus を活用してサポート。
財務と経営の数値を見える化し、急速な事業再生と黒字転換を達成

「売上や利益といった財務指標のほかに、管理会計的な情報のほか、出金・入金などの実務作業まで経営分析に役立てたいという企業にとって、Zoho Finance Plus は格好のツールだと思います」

株式会社デジタル・クリエイティブ・ネットデジタルアドバイザー 草間千恵氏

―DCNの企業概要や事業内容について教えてください。

草間氏：DCNは、私の父であり、代表取締役の草間拓生が設立しました。父はもともとプロのカメラマンであり、DCNも当初は撮影プロダクションでしたが、2015年に父のプライベートスタジオをレンタルスタジオ事業に転換し、主軸事業としました。現在は、TV局や広告代理店、制作会社など、さまざまななお客さまにスタジオをご利用いただいており、特に料理番組や食品会社の映像広告などを撮影するキッチンスタジオとして人気が高いです。

―Zoho Finance Plus を導入するきっかけについて教えてください。

草間氏：2016年ごろDCNは財務状況の悪化により、経営の危機に瀕していました。そこで父と協力し、Zoho ツールを活用した事業再生に着手したのがきっかけです。まずは、顧客管理・営業支援ツールのZoho CRM を導入し、顧客や案件、財務の状況などを見える化しました。そして、それをもとにコスト削減や利益率向上に向けた施策を実施しました。さらに、高度な分析レポートが作成できるZoho Analytics やWebサイト構築ツールのZoho Sites を活用したマーケティング施策も推進し、経営改善に取り組みました。そうしたなかで、2017年ごろに会計業務の効率化を目的として、会計関連の総合パッケージサービスである「Zoho Finance Plus」を導入しました。

―当時抱えていた、具体的な課題を教えてください。

草間氏：例えば、出金関連の入力作業です。当時は、取引先から請求書が届くと、その日付や金額を私がZoho CRM に入力、管理していました。ただ、入力作業といった定型業務はなるべく効率化し、削減したいと考えました。定型業務の効率化を実現するためのツールとして検討したのが、財務管理ツールのZoho Books でした。Zoho Finance Plus で提供されているZoho Books は、会計に特化したツールであることから帳票入力画面が分かりやすく、さらに閲覧範囲など細かな権限設定も可能なため、結果としてオンラインスタッフに入力作業を移管することができました。また、メールツールであるZoho Mail と連携すれば、お客さまから届いた請求書を自動的にZoho Books 上で閲覧できるなど、入力作業の効率化も可能です。ほかにも、請求書作成・管理ツールのZoho Invoice や在庫管理を含む受発注管理ツール Zoho Inventory を活用すれば、商品・在庫管理を含む会計業務全般を一括して管理できることに魅力を感じ、これらのツールがすべてセットになったZoho Finance Plus の導入を決めました。

―導入の過程について、教えてください。

草間氏：まずは、Zoho CRM に蓄積しているデータのインポートを行いました。Zoho CRMのデータを Zoho Analytics のテーブル機能でZoho Finance Plus に入れるデータ形式に自動で変換させ、それをCSV化。その後、インポートする処理を行いました。当時は、Zoho Finance Plus がリリースされたばかりでβ（ベータ）版であったため、データの移行には多少の時間がかかりました。現在であれば、同程度の作業は1日で終えられると思います。

また、ZohoBooksには、請求書画像を表示しながら、データ入力できる画面が備わっています。
オンラインスタッフが書類を確認しながら、入力できるよう教育用動画も作成し、出金関係はオンラインスタッフで管理できる体制を整えました。

―現在の活用状況を教えてください。

草間氏：Zoho Books で、請求/出金両方の業務が完結しています。出金は当初、入力作業をオンラインスタッフに委譲していましたが、2020年ごろからはRPAとOCRを組み合わせて、入力作業から決済までをほぼ自動化しています。請求も、請求書の作成から集金までをZoho Books で行い、会社のお金の出入りを同一ツール上で確認できる体制を構築できました。Zoho Books は会計に特化したツールということもあり、注文票から受注伝票、請求書までの流れや、発注書から支払いまでの流れが追いやすく、非常に利用しやすいです。

また、Zoho Books では、消費税の概算集計も行っています。DCNのような小規模事業者にとって、特に気になる税目は消費税です。その点、Zoho Books は、リアルタイムで勘定科目別の消費税を確認できるため、非常に重宝しています。

そのほか、Zoho Finance Plus を他システムと連携することで、より詳細な経営分析が可能になりました。例えば、Zoho Books とZoho CRM のプロジェクト情報や商談情報を紐付け、プロジェクトごとや商談ごとの収支を出しています。自社の事業再生を進めるうえで、利益率を高めていくのは重要です。そして、そのためにはプロジェクトごとや商談ごとに、細かい単位で収支を分析していく必要があります。そうした詳細な経営分析をするうえで、Zoho Finance Plus は大きな役割を果たしています。

―Zoho Finance Plus の導入効果を教えてください。

草間氏：費用面の効果としては、専任の経理人員に依頼する必要がなくなりました。DCNでは、Zoho Books を会計システムのfreee に連携し、freee で各種書面を作成しています。以前は、年間数十万円から数百万の人件費を支払っていたことを考えると、費用面での削減効果は大きいです。

また、Zoho Finance Plus をZoho CRM やZoho Analytics に連携することで、売上高や利益率など、さまざまな指標と財務指標を掛け合わせた分析ができ、経営サイドと財務サイドを繋げた経営改善への取り組みが可能になっています。経営改善には、業務の効率化など経営サイドの取り組みだけでなく、利益率向上やコストカットといった財務サイドも一体となった取り組みが欠かせません。経営サイドと財務サイドを繋げるプラットフォームとして、Zoho Finance Plus は非常に有用です。

そのほか、入出金関係の入力作業がほぼ自動化されたことによって、定型業務が削減され、よりクリエイティブな仕事に注力できるようになりました。DCNは、その名の通り、クリエイティブを重視した会社です。私自身、父やアルバイトスタッフにはできるだけクリエイティブな仕事に専念してほしいと考えています。Zohoツール各種の導入により、「ルーチン８割、クリエイティブ２割」から「クリエイティブ８割、ルーチン２割」の体制にできたことは、私自身嬉しく感じております。

―Zoho Finance Plus の今後の活用の展望はありますか。

草間氏：Zoho Finance Plus に限らず、DCNは各種Zoho ツールを活用・連携して、経営全体を見える化し、危機を乗り越えてきました。実際に、Zoho ツールの導入後、約1年で経営は黒字転換し、その後も売上高や利益率は右肩上がりに伸び続けています。
DCNでは、レンタルスタジオ事業のほかにITツールの導入やバックオフィス業務の自動化を支援するシステムアドバイザリー事業を展開しています。なかでも、Zoho 認定パートナーとして、Zoho ツール の導入支援を得意としています。今回のZoho Finance Plus のように実際に自社に導入することでZoho ツールの活用法に成熟してきました。また、私は、連結会計システムベンダーやECベンダーでの勤務経験があるため、ITツールの導入・構築・運用だけでなく、経理や会計にも知見を有しています。
今後は、こうした知見をシステムアドバイザリー事業で展開していきたいです。そして、かつてのDCNのように経営の危機に瀕している企業の事業再生／再建に貢献していきたいですね。

―Zoho Finance Plus の導入を検討されている方にメッセージをお願いいたします。

草間氏：Zoho Finance Plus の優れている点は、簿記三級レベルの会計知識があれば、自社の会計や物品を一括管理できる点です。また、細やかな権限設定も可能なため、会計業務の一部を切り出して、アルバイトスタッフなどに委譲することも可能であり、会計業務を効率化するうえで非常に有用なツールです。DCNでは、導入から構築、運用に至るまで、Zoho Finance Plus に関する数々のナレッジ を蓄積していますので、もしご興味のある方はぜひお声がけいただければと思います。