Zoho Mailへのデータ移行
Zoho Mailは、他のクラウドサービスプロバイダーやオンプレミスのメールインフラでメールをホスティングしている組織に対し、手間なくデータ移行処理を設定できるようになっています。管理者は、組織の要件に基づき、利用可能なデータ移行の種類のいずれかを使用して、既存のデータをZoho Mailに移行できます。
データ移行前の手順
Zoho Mailへのデータ移行を成功させるためには、移行開始前に十分な計画を立て、必要な手順を完了する必要があります。
- Zoho Mailに組織のドメインを追加します。
- Zoho Mailでドメインを認証します。
- Zoho Mailですべてのユーザーとグループを作成します。ユーザーの追加のヘルプページに記載されている手順に従ってください。
- 3〜4名のユーザーを対象にサンプルデータ移行を実施し、データ移行テストを行います。
データ移行をスムーズに行うには、移行を計画し、適切な移行の種類を選択し、移行の推奨方法に従うと良いでしょう。
データ移行の計画
データ移行を計画する際の推奨事項は以下のとおりです。
- メールサービスの切り替えは、受信メールの件数が少ない週末に行うことを推奨します。
- メールサービスの切り替えを実施する前に、ユーザーにメールサービスの変更を通知し、そのユーザーにログインの詳細を入力してもらいます。
- MXをZoho Mailに変更します(金曜日の夜/土曜日の早朝)。
- メールの振り分けを設定することで、データの損失を防ぐことができます。
- ユーザー作成時にメールアドレス(グループ/ユーザー)を作成し忘れていないかを確認/監視するために、キャッチオールアカウントを作成します(分割配信の場合は該当しません)。
データ移行の種類
組織の要件に合ったデータ移行の種類を選択することは、スムーズかつ適切なデータ移行を行う上で重要です。Zoho Mailは、以下のデータ移行の種類に対応しています。
次のセクションでは、どの種類がどのような状況に最適かを説明します。
ワンクリック移行(アプリベースのデータ移行)
ワンクリックデータ移行とは、管理者が以前のメールプロバイダーのメール、カレンダー、連絡先データへのアクセスをZohoに許可する認証処理です。ワンクリックデータ移行はアプリベースのデータ移行とも呼ばれ、現在Google WorkspaceとMicrosoft 365でのみサポートされています。このヘルプページのメールプロバイダー別のデータ移行セクションに記載されている対象のリンクを開きます。
IMAPデータ移行とPOPデータ移行の比較
IMAPデータ移行はサーバー間のデータ移行処理であり、Zoho Mailへのメール移行に最も推奨される方法です。データ移行元サーバーからのユーザーデータは、メールステータスとフォルダー構造と一緒に、Zoho Mailの各ユーザーアカウントに直接移行されます。これにより、ユーザーは中断したところから作業を再開できます。データ移行を追加する前に、Zoho Mailでユーザーアカウントを作成する必要があります。
以前のメールプロバイダーがIMAPデータ移行に対応しているかどうかを確認してください。IMAPに対応していない場合は、POPデータ移行でメールを移行できます。
POPデータ移行と比較したIMAPデータ移行のメリット
Zoho Mailは、IMAPデータ移行とPOPデータ移行の両方をサポートしていますが、IMAPデータ移行にはPOPデータ移行よりも多くの利点があります。アカウントに最適なデータ移行については、以下の表をご参照ください。
IMAPデータ移行 | POPデータ移行 |
---|---|
メールとフォルダーの詳細が移行されます。 | POP移行はフォルダーと一緒に移行されません。すべてのメールが受信トレイに移行されます。 |
メール(既読/未読)のステータスが維持されます。 | POP経由でデータ移行すると、すべてのメールが「未読」として取得されます。 |
複数のクライアント対応:
| 単一クライアントのみ対応:
|
IMAP経由のデータ移行は通常よりも高速です 。データ移行のレポートには詳細な統計が掲載されています。 | POPによるデータ移行はIMAPによるデータ移行より低速です。 |
データ移行における失敗を正確に追跡することができます。エラーを修正し、データ移行を再実行することができます。 | POPでのデータ移行の失敗は、取得サーバー(この場合はZoho Mail)から正確に追跡することができません。そのため、エラー情報は曖昧なものとなります。 |
Zoho Exchangeのデータ移行ウィザード
もし、以前のメールサービスが社内またはオンプレミスのExchange Server(POP/IMAP対応なし)で運用されていた場合、あるいはユーザーのメールがオフラインのPSTやEMLファイルとして利用可能な場合、管理者がZohoのExchangeのデータ移行ウィザードを利用して、Exchange ServerからZoho Mailの各ユーザーアカウントにメールを移行することができます。このウィザードは、Active Directoryからユーザーを検出し、Zoho Mailの組織アカウントに追加するためにも使用できます。こちらからExchangeのデータ移行ツールをダウンロードできます。
Zoho Exchangeのデータ移行ウィザードを使用して、移行できる機能は、以下の表のとおりです。
データ移行 | 説明 |
---|---|
PSTのデータ移行 | |
EMLのデータ移行 | |
Zoho Exchangeのデータ移行 | |
Active Directoryとの同期 |
確認事項
正確なフォルダーとメール数は、「アーカイブポリシー」ページの「フォルダーの詳細を表示」機能から再確認できます。このページでは、フォルダーごとのメール数とメールアカウントのサイズが一覧表示されます。
データ移行の推奨方法
- 実際のメール移行処理の前に、2~10人のユーザーに対してサンプルデータの移行を行います。これにより、元のサーバーの動作(ユーザー制限、メールのサイズ上限、データ移行の速度など)を確認することができます。
- 接続数の上限とは、特定の期間におけるサーバーが受け入れ可能な接続数です。サーバー負荷やユーザー数に合わせて、最大接続数を設定します。
- ユーザーの一括データ移行を設定する際、各ユーザーの優先度を指定します。優先順位が「1」のユーザーが最初に移行され、残りも設定した優先順位順に移行されます。
- 一部のサーバーでは、一定時間が経過するとIMAPでのデータ取得が制限されます。その後、移行用のメール取得は、リアルタイムのメール送受信を回避するため、遅くなります。
- MXを変更する前に配信されたメールを取得するには、サンプルユーザーのメールアカウントを再度データ移行する必要があります。重複は当社で対応いたします。また、サンプルユーザーのメールアカウントの最終データ移行時に日付制限を設定して、サンプルデータ移行後のすべてのメールが確実にデータ移行されるようにすることもできます。
通常、1ユーザーあたりのメールアカウントのサイズが約2GB、ユーザー数25名、最大接続数を10に設定した場合、移行の完了までに約11時間を要します。