Zoho Mailへのデータ移行

Zoho Mailは、他のクラウドサービスプロバイダーやオンプレミスのメールインフラでメールをホスティングしている組織に対し、手間なくデータ移行処理を設定できるようになっています。管理者は、組織の要件に基づき、利用可能なデータ移行の種類のいずれかを使用して、既存のデータをZoho Mailに移行できます。

データ移行前の手順

Zoho Mailへのデータ移行を成功させるためには、移行開始前に十分な計画を立て、必要な手順を完了する必要があります。

  1. Zoho Mailに組織のドメインを追加します。
  2. Zoho Mailでドメインを認証します。
  3. Zoho Mailですべてのユーザーとグループを作成します。ユーザーの追加のヘルプページに記載されている手順に従ってください。
  4. 3〜4名のユーザーを対象にサンプルデータ移行を実施し、データ移行テストを行います。

データ移行をスムーズに行うには、移行を計画し、適切な移行の種類を選択し、移行の推奨方法に従うと良いでしょう。

データ移行の計画

データ移行を計画する際の推奨事項は以下のとおりです。

  • メールサービスの切り替えは、受信メールの件数が少ない週末に行うことを推奨します。
  • メールサービスの切り替えを実施する前に、ユーザーにメールサービスの変更を通知し、そのユーザーにログインの詳細を入力してもらいます。
  • MXをZoho Mailに変更します(金曜日の夜/土曜日の早朝)。
  • メールの振り分けを設定することで、データの損失を防ぐことができます。
  • ユーザー作成時にメールアドレス(グループ/ユーザー)を作成し忘れていないかを確認/監視するために、キャッチオールアカウントを作成します(分割配信の場合は該当しません)。

データ移行の種類

組織の要件に合ったデータ移行の種類を選択することは、スムーズかつ適切なデータ移行を行う上で重要です。Zoho Mailは、以下のデータ移行の種類に対応しています。

次のセクションでは、どの種類がどのような状況に最適かを説明します。

ワンクリック移行(アプリベースのデータ移行)

ワンクリックデータ移行とは、管理者が以前のメールプロバイダーのメール、カレンダー、連絡先データへのアクセスをZohoに許可する認証処理です。ワンクリックデータ移行はアプリベースのデータ移行とも呼ばれ、現在Google WorkspaceとMicrosoft 365でのみサポートされています。このヘルプページのメールプロバイダー別のデータ移行セクションに記載されている対象のリンクを開きます。

IMAPデータ移行とPOPデータ移行の比較

IMAPデータ移行はサーバー間のデータ移行処理であり、Zoho Mailへのメール移行に最も推奨される方法です。データ移行元サーバーからのユーザーデータは、メールステータスとフォルダー構造と一緒に、Zoho Mailの各ユーザーアカウントに直接移行されます。これにより、ユーザーは中断したところから作業を再開できます。データ移行を追加する前に、Zoho Mailでユーザーアカウントを作成する必要があります。 

以前のメールプロバイダーがIMAPデータ移行に対応しているかどうかを確認してください。IMAPに対応していない場合は、POPデータ移行でメールを移行できます。

POPデータ移行と比較したIMAPデータ移行のメリット

Zoho Mailは、IMAPデータ移行とPOPデータ移行の両方をサポートしていますが、IMAPデータ移行にはPOPデータ移行よりも多くの利点があります。アカウントに最適なデータ移行については、以下の表をご参照ください。

IMAPとPOPのデータ移行の違い
IMAPデータ移行POPデータ移行
メールとフォルダーの詳細が移行されます。POP移行はフォルダーと一緒に移行されません。すべてのメールが受信トレイに移行されます。
メール(既読/未読)のステータスが維持されます。POP経由でデータ移行すると、すべてのメールが「未読」として取得されます。

複数のクライアント対応:

  • メールは、他のクライアントからアクセスされている場合でもデータ移行されます。
  • メールは、状態管理機能を使用して複数のクライアントで同期されます。
  • データ移行元メールアカウントにあるメールは、フォルダーと状態情報と一緒に同期されます。
  • 他のクライアントから送信されたメールは、IMAP経由で同期されます。

単一クライアントのみ対応:

  • 複数のクライアントからの依頼も、メールは1つのクライアントにのみ提供されます。
  • POP経由で取得したメールは、データ移行に使用できません。
  • POPサーバーが対応していないため、他のクライアントから送信されたメールは移行されません
IMAP経由のデータ移行は通常よりも高速です 。データ移行のレポートには詳細な統計が掲載されています。 POPによるデータ移行はIMAPによるデータ移行より低速です。
データ移行における失敗を正確に追跡することができますエラーを修正し、データ移行を再実行することができます。POPでのデータ移行の失敗は、取得サーバー(この場合はZoho Mail)から正確に追跡することができません。そのため、エラー情報は曖昧なものとなります。 

Zoho Exchangeのデータ移行ウィザード

もし、以前のメールサービスが社内またはオンプレミスのExchange Server(POP/IMAP対応なし)で運用されていた場合、あるいはユーザーのメールがオフラインのPSTやEMLファイルとして利用可能な場合、管理者がZohoのExchangeのデータ移行ウィザードを利用して、Exchange ServerからZoho Mailの各ユーザーアカウントにメールを移行することができます。このウィザードは、Active Directoryからユーザーを検出し、Zoho Mailの組織アカウントに追加するためにも使用できます。こちらからExchangeのデータ移行ツールをダウンロードできます。

Zoho Exchangeのデータ移行ウィザードを使用して、移行できる機能は、以下の表のとおりです。

Zoho Exchangeデータの移行ウィザードで利用可能な機能
データ移行説明
PSTのデータ移行
  • データがPSTファイル形式で利用可能な場合に、こちらを使用します。
  • データ移行は、ユーザーまたは管理者によって行うことができます。
  • すべてのメールアカウントのデータ(メール/連絡先/カレンダー/タスク/メモ)を移行できます。
EMLのデータ移行
  • データがZIPまたはEMLファイル形式で利用できる場合に、こちらを使用します。
  • データ移行はユーザーまたは管理者によって行うことができます。
  • すべてのメールアカウントのデータ(メール/連絡先/カレンダー/タスク/メモ)を移行できます。
Zoho Exchangeのデータ移行
  • データがExchangeサーバー上で利用できる場合に使用します。
  • データ移行は管理者のみによって実行できます。
  • 移行できるのはメールのみです。
Active Directoryとの同期
  • ZohoアカウントをActive Directoryサービスと同期する場合に使用します。
  • 管理者は、GALまたはLDAP機能を使用してデータ移行用のユーザーの一覧を取得できます。

確認事項

正確なフォルダーとメール数は、「アーカイブポリシー」ページの「フォルダーの詳細を表示」機能から再確認できます。このページでは、フォルダーごとのメール数とメールアカウントのサイズが一覧表示されます。

データ移行の推奨方法

  1. 実際のメール移行処理の前に、2~10人のユーザーに対してサンプルデータの移行を行います。これにより、元のサーバーの動作(ユーザー制限、メールのサイズ上限、データ移行の速度など)を確認することができます。
  2. 接続数の上限とは、特定の期間におけるサーバーが受け入れ可能な接続数です。サーバー負荷やユーザー数に合わせて、最大接続数を設定します。
  3. ユーザーの一括データ移行を設定する際、各ユーザーの優先度を指定します。優先順位が「1」のユーザーが最初に移行され、残りも設定した優先順位順に移行されます。
  4. 一部のサーバーでは、一定時間が経過するとIMAPでのデータ取得が制限されます。その後、移行用のメール取得は、リアルタイムのメール送受信を回避するため、遅くなります。
  5. MXを変更する前に配信されたメールを取得するには、サンプルユーザーのメールアカウントを再度データ移行する必要があります。重複は当社で対応いたします。また、サンプルユーザーのメールアカウントの最終データ移行時に日付制限を設定して、サンプルデータ移行後のすべてのメールが確実にデータ移行されるようにすることもできます。

通常、1ユーザーあたりのメールアカウントのサイズが約2GB、ユーザー数25名、最大接続数を10に設定した場合、移行の完了までに約11時間を要します。

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メールお問い合わせ窓口:support@zohomail.com